top
logo


Home 研究内容
【研究プロジェクト名および概要】

. 生活習慣病、がんの分子病態解明

 肥満やメタボリックシンドローム、動脈硬化性疾患に代表される生活習慣病の発症やがんの病態進展に共通する基盤病態として“慢性炎症”が注目されている。“慢性炎症”の分子基盤を解明することは生活習慣病やがんの発症・進展の解明と新しい診断・治療・予防法の開発に必須である。これまでに、ANGPTLファミリー分子の一つであるANGPTL2の過剰機能により、組織において“慢性炎症”が誘導され、肥満・代謝異常症(Cell Metab 2009)や動脈硬化性疾患(ATVB 2012, 2014(掲載号表紙に採用),  JMCC 2013)の発症や進展に関わることを見出した。また腎においては、TGF-βとの相互作用により“慢性炎症” “線維化” が誘導され、慢性腎臓病の発症や進展に関わることを見出した(Kidney Int 2016(掲載号表紙に採用))。さらに、正常組織におけるANGPTL2の持続的高発現が慢性炎症を誘導し、発がんの感受性を高めること(Cancer Res 2011(掲載号表紙に採用), Mol Cancer Res 2014)、がん細胞から分泌されたANGPTL2が、がん細胞周囲の微小環境に対して、血管・リンパ管新生や炎症・免疫細胞の集積を促進させる一方、がん細胞自身へも直接作用し、がん細胞の走化性及び浸潤能を活性化させることにより、がん細胞の転移・浸潤を促進させる重要な役割を果たしていることを見出した(Cancer Res 2012(掲載号表紙に採用), Sci Signal 2014(Podcastに採用))。

本プロジェクトでは、慢性炎症を基盤とした生活習慣病発症・発がんの分子メカニズムをANGPTL2シグナル伝達経路および発現調節機構解明により明らかにし、生活習慣病発症、発がん、がん浸潤・転移を抑制する新規治療法開発を目指す(Trend Endocrinol Metab 2014)。

 

. 生体の恒常性維持とその破綻による疾患発症分子機構解明

 我々の生体は、外界からの環境要因の変化に対して、生体の恒常性を維持する機構が備わっているが、その変容•破綻が生活習慣病など様々な疾患の発症に寄与することが解明されてきている。ANGPTLファミリー因子が、中枢での摂食調節の制御、脂質及びエネルギー代謝調節機構に重要であり、臓器間ネットワークを介して代謝恒常性維持機構に深く関わっている(Trend Mol Med 2005)。AGF/Angptl6シグナルは、糖・エネルギー代謝における恒常性維持機構の破綻に対して、内因応答性の拮抗作用として抗肥満作用や耐糖能促進作用を示し代謝恒常性維持機構の一躍を担っていること(Nat Med 2005)を見出した。この発見から10年以上経ってしまったが、現在、AGF/Angptl6のエネルギー代謝制御機構の詳細な分子機構がようやく見えてきた。一方、Angptl2の新たな機能としてエネルギー代謝との連関を見出した(Nat Commun 2016)。さらにAngptl2の本来の機能として、組織修復(PNAS 2005、EMBO J 2017)、免疫制御機構(未発表)、幹細胞制御機構(未発表)に関わることを見出した。

本プロジェクトでは、ANGPTLファミリー因子の発現およびシグナル調節機構解明により、生体の恒常性維持、特にエネルギー代謝制御機構、免疫制御機構、幹細胞制御機構とその破綻による関連疾患の発症・進展の分子メカニズム解明を目指す。

 

. ノンコーディングRNAによる生理的及び病態生理機能解明

 我々はジーントラップ法を用いて様々な疾患に関わる新規因子同定に成功してきた(Blood 1999, Hum Mol Genet 1999, Nat Genet 2002)。近年、タンパク質をコーディングしていないノンコーディングRNAが、発生・分化のみならず、様々な疾患における機能が明らかとなってきており注目されている。ごく最近、心臓に特異的発現を示す新規cardiac specific long no-coding RNA X(CSLR-X) RNAの同定に成功した。CSLR-X欠損マウス解析によりCSLR-X RNAが心肥大・心不全病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された(未発表)。また、肥満•糖尿病発症に関わるmicroRNAの同定に成功した。

本プロジェクトでは、ノンコーディングRNAの生理的及び病態生理機能解明を目指す。

 

Ⅳ.  血中ANGPTL濃度と生理・病態との連関解析

 ANGPTLファミリーに属する因子は、血中へ分泌されるタンパク質であり、その血中濃度と様々な生理•病態との連関解析を行ってきた。特に血中ANGPTL2濃度が、肥満、炎症、加齢、腎機能障害、心機能低下の程度(Cell Metab 2009, ATVB 2014, Circ J 2013, 2017)と相関すること、血中ANGPTL2濃度が、将来の新規糖尿病、動脈硬化性疾患発症と連関すること(Diabetes Care 2013, ATVB 2016)、また、生活習慣への介入により血中ANGPTL2濃度を低下できること(Nutr Diab 2011)を見出した。さらにこれらの成果を還元するために、平成29年7月より熊本大学医学部附属病院検査カフェで将来の新規糖尿病、動脈硬化性疾患発症を予測するマーカー因子として測定出来る体制を整えた。

本プロジェクトでは、現在進行中の複数の疫学コホート研究との共同研究による長期にわたる追跡研究、新たにスタートした疫学コホート研究との共同研究によるゲノム変異との関連、REAL-CAD研究におけるサブ解析を通して、臨床応用へむけ、血中ANGPTL濃度の生理•病態における意義解明に挑む。

 

最終更新 2017年 11月 21日(火曜日) 11:46
 

bottom